キャラバン
(エリック・ヴァリ) |
2002/09/15
07:05 |
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ストーリー | 村の人々を率いて、永年の間キャラバンを続けてきた長老。指導者として絶大なる信頼を集めてきた彼が、彼の後を引き継ぐはずだった長男を事故によって失ったとき、ドラマは始まる。長老は、幼い孫の少年に過酷なキャラバンを指揮する長老としての期待を寄せることになる。周囲の不安の中、先頭に立ってキャラバンを出発させようとするのは、過去に長老と敵対していた村人の息子であり、長老の死んだ長男の親友でもあった若者だ。カリスマ的長老とそのやり方に反発する若者。厳しい嵐と雪の中で、人と人、また人と自然との、生きるための戦いが交錯する。地位と伝承の継承をめぐる新旧世代間の葛藤を目の当たりにした少年は、遠い将来に伝説的な長老となる成長の第一歩を踏み出すことになる。 | |||
出演 | ツェリン・ロンドゥップ | カルマ・ワンギャル | グルゴン・キヤップ | |
この映画にいくら出せますか? | 1000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 5000mのヒマラヤオールロケの映像と音楽がすばらしい。キャラバン隊の少年が自然と暮らしの厳しさの中で、祖父の長老や革新的な若者の確執に触れながら、隊長としての資質を身に付け、成長してゆくだろうと思わせられる。受け継いでゆく知恵や伝統が自然の中の日々の生活にあることの大切さ。母ペマ役が「セブン・イヤーズ・イン・チベット」にも出ている俳優、主人公のガンコ親父長老ティンレは監督の友、あとはみな地元の人だそうですが、素朴な演技がいやみがなくていい。 |
敦煌(佐藤純彌) |
2002/09/14
15:43 |
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ストーリー | 1026年、宋の都開封で行われた科挙で、趙行徳は西域で勢力を拡げつつある新興国、西夏への対策問題に答えを窮し、試験に落ちてしまう。街の中を呆然とさまよううち、行徳は一人の西夏の女に出会い、その誇り高さと西夏文字に強く惹かれ、西夏を目指して旅立つ。 その途中、西夏の兵隊狩りに遭い捕らえられた行徳は、朱王礼率いる西夏の漢人部隊に無理やり編入される。戦乱の中で行徳は、西夏の皇太子、李元昊の目にとまり、西夏の都イルガイへ西夏文字習得のために派遣されることになった。ウイグルの王女ツルピアと愛し合うようになっていた行徳は、1年で帰ると約束したにもかかわらず、西夏文字の辞書を作ることを命じられ、いつのまにか3年が過ぎてしまう。その間、ツルピアは元昊に奪われ、政略結婚を強いられていた。ところが、婚礼のさなか、ツルピアは城壁から身を投げ自ら命を絶ってしまう。 自暴自棄になった行徳を、王礼は敦煌へ送る。彼は、敦煌太守曹延恵の館で累々と積み上げられた膨大な古今東西の文書、経典や美術品に思わず息をのんだ。さらに莫高窟へ連れられた行徳は、無数の石窟に脈々と受け継がれた壁画や仏像の数々に、魂を揺さぶられるような思いに襲われる。 李元昊がついに敦煌に攻め入ってくる。王礼は、元昊への謀反を決意する。それは命の切り売りをしてきた元昊に対する漢人としての誇りであった。しかし、西夏軍の総攻撃の前に、敦煌城内はあちこちに火の手が上がった。炎に包まれた太守の館では、学僧たちが貴重な文典類を必死に運び出していた。翌朝、行徳はそれらを莫高窟に運び入れ、石窟の奥へと埋め込んでいったのである。 行徳は丘の上から遠く、炎上して落ちていく敦煌城と、砂塵の中全滅していく漢人部隊を目にした。(http://www.infoaomori.ne.jp/~yappi/eiga/EB-04tonkou.html) |
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出演 | 佐藤浩市/趙行徳 | 中川安奈/ツルピア | 西田敏行/朱王礼 | |
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
評価を控える | 評価を控える | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
コメント | 実際に莫高窟に足を運び、4億円かけたという敦煌城のセットを見ればこの映画を見ないわけには行かない。中国から帰ってすぐ見た。中国西域はあの砂漠を舞台に群雄割拠の戦国史の繰り返しだったのだとそれぞれにすさまじい戦を思う。砂と熱風と寒気のなかの戦の日々に、ツルピアの役どころがオアシスでもあり不自然な気も。莫高窟が映像で見られるのが嬉しい。これだけのものが発見され、4万点もの経典や文書が隠されていた事実が井上靖のイマジネーションを掻き立てたのもわかる気がする。ただ、莫高窟のその素晴らしさと現にある事実が大きくて、想像を圧してしまう。 |
スパイゲーム(トニー・スコット) |
2002/08/05
17:18 |
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ストーリー | 厳重な警備を誇る中国の刑務所にやってきたトム・ビショップ(ブラッド・ピット)。彼はこの刑務所に捕らえられている人物を救出に来たCIAエージェントだ。一方、ワシントンDCでは、CIAの作戦担当官ネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)が、華々しいキャリアの最後の日を迎えようとしていた。
そこへ、香港のアメリカ大使館から1本の電話が入り、ミュアーはビショップが中国で投獄された事実を知る。事件の背景をさぐろうとするミュアー。上層部の動きをうかがっていた彼は、ある事情からアメリカがビショップを見殺しにする気でいることを知ってしまう。意を決したミュアーは一世一代のオペレーションに取りかかる。 |
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出演 | ロバート・レッドフォード | ブラッド・ピット | ||
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜1000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
評価を控える | ☆☆ | ☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆ |
コメント | 非常な任務の中にどれだけ人間性を加味しながら生きられるかロバートレッドフォードが役どころではあるが、やはり、その年齢の表れた顔のアップは出来れば見たくない。24時間限定の知的ゲームだが、説明的な回顧シーンが断続的に挟まれて緊迫感がそがれ、面白みに欠ける。 |
息子の部屋(ナンニ・モレッティ) |
2002/08/05
16:55 |
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ストーリー | 成功した裕福な精神分析医ジョバンニは、ある日、事故で息子を失う。残された彼は、妻、娘とともに、悲しみと後悔にさいなまれながら、空虚さの中で生きていかなければならない。<br> そんなある日、息子に、夏休みのキャンプで知り合ったガールフレンドがいたことがわかる。<br> 子供だとばかり思っていた息子が、家族の知らないところで、恋をしていたのだ。<br> 訪ねてきたガールフレンドと悲しみを分かち合ううちに、悲劇に耐えかねてばらばらになりかけていた家族に変化が起こる。<br> 彼女が持っていた写真には、自分の部屋で、ひとりくつろぐ息子が写っていた。<br> 自分たちの知らなかった彼の人生の一部を目にすることで、家族のそれぞれが決して受け入れられないと思っていた彼の死と、少しずつ折り合いをつけてゆく。(公式サイトhttp://www.warnerbros.co.jp/sonsroom/main.htmlより) | |||
出演 | ナンニ・モレッティ | ラウラ・モランテ | ジュゼッペ・サンフェリーチェ | |
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜1500円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
評価を控える | ☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
コメント | 2001年度カンヌ映画祭最高賞であるパルムドールを受賞。不慮の事故による息子の死を受け入れることの難しさ。そして息子の生のあかしとして残った息子の部屋。皮肉なことにたった1日だけの出会いの少女の方がその部屋で生き生きと暮らしていた息子の表情を知っていた。確かに成長した息子の部屋は承諾なしには入れないし、心の中はもっとのぞけない。理解し会える人を求めて巣立ってゆくとしたらそれも仕方がないとあきらめるしかない。批評家やマスコミに絶賛されるほどの感動が私に起こったということはない。涙もなく淡々と見た。たただ家族全員そろっていることの幸せは心に沁みた。 |
ショコラ(ラッセ・ハルストレム) |
2002/08/05
15:28 |
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ストーリー | ある冬の日、フランスの小さな村に、謎めいた女性ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と娘がやってきた。彼女は教会の近くに、見た事もない美味しそうなチョコレートであふれたショップを開く。店に訪れた客の好みをピタリと当て、チョコレートを勧める彼女の店はたちまち村の話題に!!しかし、苦しくも町はキリストの断食期。村の指導者レノ伯爵は、なんとかヴィアンヌを村から追い出そうとするが…。
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出演 | ジュリエット・ビノシュ | ジュディ・デンチ | ジョニー・デップ | |
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 健康志向の私は最近チョコレートを口にする機会が減りました。でもこんなに夢のある素敵な食べ物を食べる幸せを捨てていいのかしらと思い直したりして、、、。ジュリエット・ビノシュが美しくて魅力的。昔アラブのえらいお坊さんがと歌ったコーヒールンバのコーヒーもだけど、元気になる不思議な食べ物や飲み物はうまく生活の彩りに添えたいなと再認識。 |
シッピング・ニュース(ラッセ・ハルストレム) |
2002/08/05
06:51 |
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ストーリー | 大西洋を臨む最果ての地、ニューファンドランド島。妻ペタルに裏切られた中年男クオイルは、娘バニーを連れて叔母のアグニスと共に、ニューヨークから父の故郷であるこの島にやって来た。朽ちかけていた代々の家を修理し、3人の新しい生活が始まった。クオイルは地元の新聞社ギャミー・バードに職を得、コラム“シッピング・ニュース”を担当することになる。オーナーで編集長のジャックは机には落ち着かず、いつも海で漁ばかりしている。古株のタート・カード、家庭欄とゴシップ記事担当のビリー・プリティ、ブラジルから流れ着いたというイギリス人ナットビーム。ジャックの息子で大工のデニス。そして託児所を営む若き未亡人ウェイヴィとの出逢い。仲間に支えられて、クオイルは次第に記者の仕事に自信を見いだしていく。だが、地元の人々との交流を深めるにつれ、彼は封印されていたクオイル家の秘密を知ることになる――。 | |||
出演 | ケヴィン・スペイシー | ジュリアン・ムーア | ジュディ・デンチ | |
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
評価を控える | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | ビデオの棚から予備知識皆無で選んだので、思いがけずいい映画にめぐり合ったという感じ。後で脚本・監督・出演者を知り、ショコラに続く作品と知った。今回偶然ショコラも借りてきたので、見終わってその共通性もおもしろかった。主体性のない男性を好演するケヴィン・スペイシー。地図で見ていつも好奇心を書きたてられたニューファンドランド島の自然と暮らし。そこに展開するスト−リーはピュリッツァー賞と全米図書賞をダブル受賞したアニー・プルーの話題作。その数々のエピソードはモンゴメリーの赤毛のアンに出てくるプリンスエドワード島のそれに似て、厳しい自然の中で生きる人々の哀しみやユーモアやミステリーに人間味が加味され暖かい。 |
桜の園(演出:栗山民也) |
2002/07/12
10:48 |
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ストーリー | 先祖代々の広大な領地『桜の園』が借財の果てに競売にかけられる。ここに来てもいまだに世間知らずと浪費癖の改まらないラネーフスカヤ夫人(茅野麗子)とその兄。皮肉なことに桜の園を買ったのは彼らの領地で百姓をしていた男の息子だった。 | |||
出演 | 森光子 | 津嘉山正種 | 段田安則 | |
この映画にいくら出せますか? | 0円〜〜3000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
評価を控える | 評価を控える | ☆ | ☆☆ | ☆☆ |
コメント | やはりこの作品はロシアの革命前夜でないと登場人物の存在感が浮き上がってこない。古い体制の崩壊と新しい時代への期待と不安が緊張感を持って並立する時代が背景にないと単なるドタバタに過ぎない。明治末期の信州という時代設定の試みは観客へのサービスというより、チェーホフと観客を侮辱していると思う。たいしてチェーホフも桜の園もお芝居も分かるわけじゃないけれど。 |
阿弥陀堂だより(小泉 尭史 ) |
2002/06/15
03:24 |
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ストーリー | 心を病んだ医者である妻が夫の故郷である信州の美しい自然と暖かい人々の交わりの中で、癒され、医者としての自信も回復していく。<br> | |||
出演 | 寺尾聡 | 樋口可南子 | 北林谷栄 | |
この映画にいくら出せますか? | 1000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
コメント | 原作は平成元年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞を受賞している南木
佳士。自らも医者。日本の美しい自然を背景に、よりすぐりの俳優の演技も自然。地元の方の生活感が息づいて久しぶりに見たさわやかな日本映画。北林谷栄の90歳の演技は見逃せない。公式サイトの写真や撮影日誌も必見。http://www.amidado.com/extra/index.html (5月25日試写会にて) |
ビューティフルマインド(ロン・ハワード) |
2002/03/21
09:33 |
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ストーリー | 第二次大戦後のまだ、ソ連との関係が極度に緊張した時代に学生だった、後にノーベル賞を受賞する1人の天才の伝記に基づくストーリー。ただし、単に伝記ではなく、精神分裂症の症状や、治療、その病気とたたかう人、取り巻く人などナッシュとアリシアの愛を軸に、思いがけないストーリーが展開する。 |
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出演 | ラッセル・クロウ | ジェニファー・コネリー | エド・ハリス | |
この映画にいくら出せますか? | 1000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
コメント | 天才に生まれたことの不幸せ。凡人であることの幸せはともかく、ラッセルクロウの演技には感動。アリシアの知的で誠実な愛の形に久しぶりに夫婦のあり方を見直した。アメリカ映画の脚本・俳優の厚みと映画を楽しむ趣向に感心させられる。淀川さんではないが映画って面白いとつくづく嬉しくなる。(3月20日試写会) |