折り梅(松井久子)
2003/03/06 05:28
ストーリー 四人の子がありながら、姑の政子はいまだに団地の一人暮らし。そんな姑を見かねて、三男の嫁・巴は自分の家に引き取ることを決意する。しかし、突然それは始まった・・・。今まで仲良くしてきたはずの姑は、明らかにアルツハイマー型痴呆症の症状を見せるようになったのだ。政子の変貌に戸惑いを隠せない家族。しかし、パートを辞めることはなく、ヘルパーを雇いなんとか介護していこうとする巴に、夫の裕三は不満をもつ。子供たちとギクシャクしてきた。自分にだけつらくあたる政子の態度に疲れきった巴は、安心できるグループホームの存在を知り、夫と相談して入所させることを決意する。
 入所前日、同じ布団で眠る政子と巴-二人の心に交流が始まり、翌日グループホームへ預けに行く途中で巴は政子からつらかった過去と「折り梅」のエピソードを聞く。政子は巴につらくあたりながら苦しんでいたのだ。介護するには、まず自分が変わらなければと決心し、引き返す巴。
 やがて政子は描いた絵を誉められ、絵画教室に通いだす。年月が流れ、政子の絵は展覧会で賞をとるほどになった。痴呆になっても、すべてを忘れるようになっても能力は開花するのだ。
出演 原田美枝子 吉行和子 トミーズ雅
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 老木になっても美しい花を咲かせる梅にちなんで映画のタイトルは『折り梅』と名付けられている。 ひとり暮らしの姑と母のいる身にはひとごとでいられない。追い詰められても自分の領分を捨てなければ、相手を理解できる余地を残せるのかも知れない。人間の心に容量の制限はなく、いくらでも心は広げられる器なのかもしれない。老いと向き合う姑や母と接する時に取り繕わない笑顔で接することができるだろうか。巴の笑顔が印象的。自主上映は各地で。機会があればぜひ。年をとらない人はいないですものね。http://www.essen.co.jp/00oriume/oriume1.html

銀杏のベッド(カン・ジェギュ)
2003/03/05 17:59
ストーリー 32歳の誕生日を迎えたばかりの画家スヒョン(ハン・ソッキュ)。大学講師という職も得、外科医の恋人ソニョン(シム・ヘジン)との結婚も考えはじめ、何不自由ない生活を送っている。ある日、スヒョンは路地裏に入っていく夢を見た。翌日、車の運転中に夢の中で聞こえていた琴の音と同じ旋律を耳にしたスヒョンは、その音に導かれるように路地を入り、そこに打ち捨てられていた一台の、銀杏の木でつくられたベッドを見つけた。 自分の家にベッドを運びこんだ時から、スヒョンの身の回りで不可思議な出来事がつづくようになる。
出演 ハン・ソッキュ ジン・ヒギョン シム・ヘジン
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜1500円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
コメント 「シュリ」や「カル」でブレイクする韓国映画とハン・ソッキュの原点がこの作品にあるという説明につられ見たが、香港映画のような展開。ハン・ソッキュとファン将軍の シン・ヒョンジュン、シム・ヘジンとジン・ヒギョンのまるでタイプの違う俳優が面白かった。ただ私の好みの映画ではなく、何とか見終わったというところ。

ユキエ(松井久子)
2003/03/03 08:32
ストーリー  アメリカ南部ルイジアナ州、バトンルージュ。ユキエが戦争花嫁として海を渡ってこの町へやって来てから、いつの間にか40余年が過ぎていた・・・。
 ユキエは、朝鮮戦争の時代に、空軍パイロットで故郷・山口県萩市に赴任した夫リチャードと出会い、そして結婚。夫への愛だけを頼りに、まだ人種差別の残っていたこの地に渡った。日本では祝福されなかった結婚。けれど、ふたりの息子に恵まれ、愛する夫や家族との生活に満足していた。
 しかしある日、リチャードの会社は不慮の事件に巻き込まれてしまう。信頼していたビジネス・パートナーの裏切りに合い、失脚した夫。失意のリチャードにとって唯一の理解者は妻のユキエである。ふたりは財産も地位も名誉も失った生活の中で互いに励まし合い、愛を尽くし、日々を生き抜いてきたのだ。
 やがて息子も巣立ち自立。時が勇気を再び呼び覚まし、夫婦ふたりだけの絆を深める穏やかな日々を迎えたユキエとリチャードだったが、そんな矢先、ユキエが突然、不治の病といわれるアルツハイマーに侵されてしまう・・・。
 愛する妻の心から、40年間築き上げてきたふたりの、そして家族の人生の記憶が失われてゆく。それを目の当たりにして、深い寂寥感に襲われながらリチャードは思う。妻の病気は、自分の名誉が回復したら治るのではないか、結婚以来、一度も帰国していない故郷・日本に帰してやることが叶えば、元のユキエに戻るのではないか、また、ある日、ふと気づけば何事もなかったかのようにいつもの彼女が笑い返してくれるのではないかと・・・。
 ユキエは息子たちの顔すら判らないことが多くなってきた。しかし、時折、いつものユキエの言葉が交わされる。そんな事の繰り返しが続く。ユキエは云う、「これはあなたたちへのゆっくりしたお別れだと思うのよ・・」。
出演 倍賞美津子 ボー・スベンソン 草村礼子
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
コメント 『ユキエ』は、アメリカ・ルイジアナを舞台に、初老をむかえたアメリカ人の夫と、アルツハイマーという難病におそわれた日本人の妻の夫婦愛のドラマ。「スロー・グッドバイ」(ゆるやかな別離)にいたる日々を薄れゆく記憶と懸命にたたかう妻と、彼女を励まし愛し続ける夫の姿を、抑制のきいた静かなタッチで描き、生きること、愛することの美しさを、深い感動で伝える。夫婦どちらが先にということになっても、共有した記憶を分かり合えることで支えあうことができる夫婦関係をその日までもち続けられるかどうか。

天使にさよなら(ウダヤン・プラサッド)
2003/03/03 07:07
ストーリー 造船の町・ニューキャッスルに住むジミー(ランドレス)は、“天使になって大空を舞いたい”と夢見る11歳の少年。<br> ある日、大天使ガブリエル(コノリー)がそんな彼の前に現れ、天使見習いに抜擢してくれます。“早く天使になりたいと頑張るジミー。<br> でも、そんな姿は失業と病気に悩むパパを苛立たせるばかり。その上、“天使になって大好きなパパの病気を治したいと思いつめる程に誤解され、とうとうパパを怒らせてしまいます。そんな時、パパが入院してしまい……。<br> 他の男の子たちと違ってサッカーよりも天使修行に熱中する風変わりな少年と、不況のどん底に喘ぎながら不治の病に侵されていく父親――お互いに愛情を伝えられない不器用な親子が、一瞬の、永遠の心の触れ合いを得るまでを、厳しい状況の中で、優しく、温かく見つめていくこの作品。<br> そこから鮮やかに浮かび上がるのは、夢と希望と現実の狭間で葛藤を繰り返しながら大人へと成長していく少年の繊細な心です。<br> そして、その先に訪れる“衝撃の結末――父子の間に真の絆が生まれる、限りなく美しく切ない“奇跡の瞬間は、きっと貴女の頬を熱い涙で濡らすことでしょう。
出演 ショーン・ランドレス イアン・グレン  デイヴィッド・ブラッドリー
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント 「リトルダンサー」の脚本家による作品。父と息子の素直になれない、だけどほんとは一番の理解者で支持者になりたがっている切ない関係がよくわかる。子供は天使にたとえられるけれど、この映画では本当に天使になろうと試みる。子供は善意からストレートに神や天使になるための努力をする。それができないと決めてかかって見ているわたしはいつからそう決め込んだのかなとふと思う。似た邦名が多くて混乱するが、内容的にも「僕の神さま」を思い出した。

マップオブザワールド(スコット・エリオット)
2003/03/01 17:34
ストーリー  アメリカ中西部の田舎町。町の中心部を少し離れると、そこは広大な農場地帯が広がっている。グッドウィン一家は、そんな町で酪農を営んでいる。夫は農場の仕事、妻は夫を手伝いながら、学校の保健室で生徒の健康管理を受け持っている。排他的なところもある田舎暮らしだが、近くに住むコリンズ家の主婦テレサとアリスは親友同士。娘たちも互いの家を行き来するような、家族ぐるみの親しいつき合いを続けている。だがある夏の日、グッドウィン家に遊びに来ていたテレサの娘のひとりが、アリスがほんの少し目を離したすきに敷地内の池で溺れるという事故が起きる。アリスの応急処置も空しく、幼い少女は息を引き取った。幼い子供にありがちな水の事故。アリスに法的な責任を求める人はいないが、親友の娘を不注意で死なせてしまったという事実が彼女を苦しめ、親しかったコリンズ家との関係も気まずくなる。アリスがそんな苦しみと戦っている時、彼女は思いがけない罪で警察に逮捕されてしまう。彼女が勤めている学校で、子供に性的なイタズラをしたというのだ……。<br><br>
出演 シガニー・ウィーバー ジュリアン・ムーア クロエ・セヴィニー
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
コメント  ふとしたことがきっかけで人生の歯車が狂いだすことってありえないことではない。それが信頼関係のある友人の場合の悲劇は大きい。一つの事件が当事者だけでなく、家族や友人や知人や町までも巻き込んで行く恐ろしさ。子供や夫が痛ましい。それでも、ゆるぎない信頼関係があることを確認しあう二人の女性たちによってこの映画はふっと安堵できる。それにしても、飽きはしないけど時間たっぷりの長い映画。

青い炎(蜷川幸雄)
2003/02/26 15:00
ストーリー 主人公・櫛森秀一(二宮和也)は母(秋吉久美子)・妹(鈴木杏)と親子3人暮らしの17歳。平和に暮らす3人のもとに、10年前、母が再婚しすぐに離婚した男・曾根(山本寛斎)がやってきた事により3人の生活が一変。家に居座り傍若無人にふるまい、母のみならず妹にまで手を出そうとする曾根に対し、秀一は殺意を抱くようになる。インターネットや専門書で情報を収集し、殺人計画を実行。唯一、秀一のガールフレンド・福原紀子(松浦亜弥)に微かな不審を抱かれた事以外、完璧な犯罪に見えたが……。<br>
出演 二宮和也 松浦亜弥 秋吉久美子
この映画にいくら出せますか? 1500円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆
コメント 17歳の犯罪といっても、家族を守るというけなげで殊勝な動機。蜷川演出にもかかわらず、山本寛斎演じる母が再婚しすぐに離婚した男・曾根への憎しみが殺人に至るまでの動機が今ひとつ説得性に欠ける気がした。緻密な反抗計画もイマイチ画面ではわかりにくい。きっと小説のほうがこの辺の面白みは表現方法として優れているのかもしれない。ミステリーといったジャンルではくくれない。それでも二宮君の清新な演技はまさに17歳のナイーブさともろさを見せて初々しい。松浦亜弥も最後のアップやガレージでの二人のときなどの表情には目をみはる。さすが美形の若者好き蜷川の腕の見せ所。刑事役の中村梅雀がうまい。切ない映画が見たいといった友人がその結末のクライマックスを眠気で見てなかったなんてちょっと許せない気がした。

壬生義士伝(滝田洋二郎)
2003/01/31 05:14
ストーリー 幕末の京都の片隅、壬生で産声を上げた新選組は、表向きには得意絶頂だったが、内部では崩壊が始まっていた。倒幕勢力が日に日に力を増し、新選組も各々の思惑に揺れていた。局長の近藤勇も一目置く斎藤一(佐藤浩市)は、皮肉な目でそんな状況を眺めていた。 ある日、ひときわ腕の立つ男が入隊する。盛岡の南部藩出身の吉村貫一郎(中井貴一)だった。幕府の力が弱まるにつれ、明日をも知れない運命に翻弄される隊士たちの中で、貫一郎はただ一人、異彩を放っていた。名誉を重んじ、死を恐れない武士の世界において、彼は生き残りたいと熱望し、金銭を得るために戦った。全ては故郷の妻と子供たちを守るためだった。
出演 中井貴一 三宅裕司 佐藤浩市
この映画にいくら出せますか? 1500円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆
コメント  中井貴一の演技が素晴らしい。そして、中谷美紀と夏川結衣が美しい。日本人の心の奥底に潜む純朴で美しいものへの憧れを今の時代にふっと思い出したくて、静かに取り出してみたような、、、。疲れた戦士たちに見て欲しい。

ボーンアイデンティティ(ダグ・リーマン)
2003/01/18 10:05
ストーリー 未公開映画なのでストーリーはほどほどに。題名どおり主人公ボーンが「アイデンティティ」、なくした記憶を求めて、自分の名前・正体・身元を捜し求める。複雑な背景の暗殺者たちに何度も狙撃されそうになりながら、知り合った女性マリーの協力とお互いの愛情で記憶を取り戻していく。
出演 マット・デイモン  フランカ・ポテンテ クライヴ・オーウェン 
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
コメント  マットデイモンがあのグッドウイルハンティングとは全然違う頭脳明晰、怜悧でタフな男性を演じて新鮮。というよりも彼の映画なら、ヒューマンな映画かなと言う予想が、見事裏切られ、ひたすらハードなアクション映画。そう思って見ればはらはらどきどきで結構楽しい。スタントを使わない彼のスリリングな逃避行は、見せ場もいっぱい。最後の白のtシャツ1枚になったデイモンの素顔が、やっぱり、私はいちばん好きだけど。

春の日はすぎゆく(ホ・ジノ)
2003/01/12 08:10
ストーリー 仕事を通じて知り合った録音技師の青年とラジオ局の女性ディレクター。ともに“音”を求めて旅するうちに、二人は自然に愛し合うようになる。だが、男が愛にのめり込むほどに  愛に懐疑的な女はその愛から逃れようとする。そして、確かに愛し合った時間は、春の日のようにはかなく過ぎ去り、やがては美しい記憶となってふたりの心に残るだけになっていくのだ…。
出演 ユ・ジテ イ・ヨンエ パク・イヌァン
この映画にいくら出せますか? 1000円〜〜1500円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆
コメント  愛が変わることが信じられない若者とすでに愛に裏切られたことのある女性の出会い。若者のすでにボケ始めた祖母が「去ったバスと女は追うものではない」という言葉が印象的。自然のかすかな美しい音に耳を傾ける画像が美しくその時間を共有したふたりが愛し合うのは自然の成り行きと言うことは納得できるけれど、ウンスの愛の冷め方がどうも私には。主演のふたりの清新さがますます韓国映画の人気を高めそう。
インディペンデンス・デイ(ローランド・エメリッヒ)
2003/01/11 01:25
ストーリー 世界の主要都市に突如として現れた宇宙人の巨大円盤。次々に攻撃を仕掛けてくる宇宙人に対しその反撃方法を考えるが…
出演 ウィル・スミス ビル・プルマン ジェフ・ゴールドブラム
この映画にいくら出せますか? 1500円〜〜2000円
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
コメント  久し振りにテレビの映画番組で長時間みてしまった。前半眠くて寝るつもりが、だんだん目もさめて、半分しらけながらも火炎に包まれながら廃墟と化す都市の特写や上空を覆ってしまう不気味な巨大なUFOの映像につい引き込まれた。いかにもアメリカ的なストーリーに苦笑し、アメリカ人でなきゃこんな映画許せないと思いながら、それでもみてしまう。きな臭くなってきた時代に、こんな映画を面白がってみている場合ではないと言う気もして、結構後ろめたかったりして。


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