アイ アム サム」(ジェシー・ネルソン) |
2003/06/10
11:36 |
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ストーリー | 7歳の知能しかもっていない父親、サム。コーヒーショップで働きながら、たった一人で娘のルーシーを育てている。楽しい仲間に囲まれて、幸福な日々を送っていたが、ルーシーが7歳を迎えると、サムは父親としての能力に欠けると判断され、ソーシャル・ワーカーによってルーシーを奪われてしまう。かけがえのないルーシーを失ったサムは、敏腕女性弁護士とともに、裁判に出ることを決意する。自分が、父親としての能力を十分持っていることを証明するために、そして、ルーシーとまた楽しく暮らすために―――。<br><br> | |||
出演 | ショーン・ペン | ミシェル・ファイファー | ダコタ・ファニング | |
この映画にいくら出せますか? | 2000円〜〜3000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 父親の親権についてソーシャルワーカー&弁護士との確執は目新しいものではないけれど、知的障害者の父親と言うのが今までになかった形。サムの7歳の精神年齢をルーシーは超えて成長してゆく。至福の時と同じだが、彼を支える仲間たちがいい。知性や精神性も人間の一要素にすぎないこと。そしてそれを補って余りあるものを持つサムであることを時に小さな誤解はあっても、誰よりルーシーがいちばん理解している。子役のダコタが可愛くて、それでいてショーンに負けない演技。丁寧に描かれてかなりの長編(133分)だけれどビートルズのナンバーを聴きながら、いつしか見終わってしまう。 |
至福のとき(チャン・イーモウ) |
2003/06/10
09:03 |
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ストーリー | 近代化が進む中国の都市、大連。盲目の少女ウー・インは継母と義弟にいじめられ、つらい思いをこらえながら生きている。ある日、継母に熱心に求婚する男チャオが現れた。“至福旅館”の経営者だというチャオに、継母は厄介者のウー・インを按摩として働かせるように頼みこむ。しかし、本当のチャオは工場をリストラされてお金も仕事もない中年男。なんとか結婚したいチャオは今さら嘘とも言えず、ウー・インのために閉鎖中の工場に按摩室を作り、同僚たちに客のふりをしてもらう。仕事をして稼ぐことで次第に生きる希望を取り戻し、笑顔を見せるようになるウー・イン。彼女とチャンとの間にはやがて父と娘のような愛情が芽生えていった。それはつらく厳しい人生を送ってきた2人にとって、つかの間の至福のときだった。チャンと心優しき仲間たちは、少女のささやかな幸せを守るために、懸命に芝居を続けようとするのだが・・・。 | |||
出演 | チャオ・ベンジャン | ドン・ジエ | フー・ピアオ | |
この映画にいくら出せますか? | 2000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | とにかく私にはとても楽しい映画。ウー・インの笑顔のために気のいい貧しい大人たちが知恵を絞るその時間が楽しい。。無表情なウー・インが見せるこぼれるような笑みが美しい。チャン・イーモウは次々と魅力的な女性をスクリーンに送り出すことに感心。そして、チャオ初め脇役たちの演技のうまさが素晴らしい。せつない喜劇と悲劇とで織る市井のメルヘン。そうと知って充分楽しめる。 |
アバウト・ア・ボーイ(ポール&クリス・ウェイツ) |
2003/05/08
19:05 |
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ストーリー | 38歳のウィルにとって、人生はきわめて単純なものだった。そう、12歳の少年マーカスと出会うまでは──。
ノース・ロンドンに住む独身男ウィル・フリーマンはクリスマス・ソングの一発ヒットを放った親の遺産で暮らしている。面倒を見なければならない家族も、責任がついてまわる仕事も持たない優雅でお気楽な生活。それはウィルにとって100%満足のゆくものだった。そして、その生活は長く続くはずだった…。精神未熟なグータラ男の独身男性が、悩み多き12歳の少年と出会ったことから、人生の意味を発見していく物語。友情を糧に成長を遂げていくふたりの愛すべきキャラクターが、楽しい。
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出演 | ヒュー・グラント | ニコラス・ホルト | レイチェル・ワイズ | |
この映画にいくら出せますか? | 1500円〜〜1500円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
コメント | ヒュー・グラントのなんともとっぽい持ち味がウイルにピッタリ。こんな男いそうと軽くあしらいたいものの、ハンサムで心優しいとなると、憎みきれずに許してしまう女心。心優しく淋しいマーカスに心を許して、次第に人との関わりの楽しさを知ってゆく。ウイルがその空虚さを埋めてゆく過程をマーカスが見守っているような大人になりきれない37歳の男と妙に大人びた12歳の少年の関係がさわやかで愉快。 |
ロード・トウ・パーディション(サム・メンデス) |
2003/05/08
07:42 |
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ストーリー | 1931年のアイルランド系ギャングの殺し屋。マイケル・サリヴァン(トム・ハンクス)父親のような存在のルニー(ポール・ニューマン)の片腕として働いていたが、ある日12歳の息子マイケル(タイラー・ホークリン)に殺しの現場を目撃される・・・。それをきっかけに、妻と次男が殺されてしまいます。ルニーは生き残ったマイケルの殺害を、残虐な殺し屋マグワイア(サム・メンデス)に依頼。父と子の6週間の逃亡生活が始まります。 |
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出演 | トム・ハンクス | ポールニューマン | ジュード・ロウ | |
この映画にいくら出せますか? | 2000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | ギャング映画は苦手だけれど、二組の父子の情がしっかり描かれていて、心に残る映画。とにかく風格の出たトム・ハンクスの抑制の効いた演技が魅力的。子役のタイラー・ホークリンがサリバンジュニアの父親を慕う切ない役どころを演じて新人とは思えない。ニヒルな殺し屋マグワイアも印象的。 |
ひかりのまち(マイケル・ウィンターボトム) |
2003/04/16
10:36 |
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ストーリー | 11月のある週末。ソーホーのカフェで働くウェイトレスのナディアは、伝言ダイヤルで恋人を募集中。今日はカメラマンのティムとデートの約束だ。誰かそばにいてほしい、でも誰でもいいわけではない…。 姉のデビーはバツイチの美容師。9歳になる息子ジャックと暮らしているが、夜遊びに余念が無い。 元教師の妹モリーはもうすぐ出産。でも夫のエディは、なぜか最近うかない顔だ。 両親は愛情を見失いかけている。家出した弟ダレンのことでなじりあってばかりいる。 いつもと変わらない週末。幸福と愛を求めてさまようナディア。ロンドンの街の灯はそんな彼女をやさしくつつみこむ…。 |
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出演 | ジナ・マッキー | モリー・パーカー | シャーリー・ヘンダースン | |
この映画にいくら出せますか? | 1500円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | ロンドンの普通の人々の愛と幸福と人生を見つめた物語。彼がこれまで培ってきた独特の映像感覚の集大成ともいえる。なんてことないロンドンの片隅の週末。家族それぞれがからみあいながら、奥行きのある話が展開するので、淡々としているけれど、退屈ではない。光流れるロンドンの日常がwonderland(タイトル)。 |
この素晴らしき世界(ヤン・フジェベイク) |
2003/04/12
06:09 |
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ストーリー | 第二次世界大戦下、戦場から遠く離れたチェコの小さな町にもナチスの影がしのびよる。ある日、子宝に恵まれない夫婦ヨゼフとマリエは、収容所から逃げてきたユダヤ人青年ダヴィトをかくまうことになる。この家に出入りするナチスシンパのホルストはマリエに横恋慕していた。彼は隠し事をしているような夫婦の様子に疑いを持ち始める。彼らの運命の行方は…。 | |||
出演 | ブレスラフ・ポリーフカ) | アンナ=シィシュコヴァー | ヤロスラフ=ドゥシェク | |
この映画にいくら出せますか? | 1000円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 船上のピアニストでナチスに関心を持った息子が借りてきたビデオ。悲惨な時代にあった実話が、温かみとユーモアにあふれるストーリーで 語られる。過酷な時代背景の中にも市井の中では信頼に結ばれた人間関係が成立し続けたことに嬉しくなる。いつの時代も人はともに助け合わねばと言う原題は聖書から。「ライフイズビューティフル」に似せた題名に惑わせられるが、これはチェコ人気質の誇りがあふれる全く異質で同様に良質の映画。 |
活きる(チャン・イーモウ) |
2003/03/16
15:07 |
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ストーリー | 主人公は、元地主の放蕩息子・福貴(フークイ)一家にすえられている。福貴はバクチで財産を失い、影絵芝居で生計を立てるようになり、国民党に使われ、そして共産党の解放軍に雑役として使われることになる。それが幸いして、革命成立後は地主として処刑されることもなかった。そんな福貴は革命の闘士でもなく、普通の庶民として大躍進や文革時代を迎えた。 |
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出演 | グォ・ヨウ | コン・リー | ||
この映画にいくら出せますか? | 1500円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 中国映画として、初めて文革の実相を描いたと言われるこの作品(国内では未公開らしい)。 それだけ中国がまた動いたこと。私が生きてきた時代と重なっていてもなかなか見えなかった変革の時代の中国の庶民の姿がここにある。 日中戦争から中国革命、文化大革命へといたる30有余年。一つの家族の顛末を通して、「幸せとはなにか」を問いかける。「活きる」というタイトルの原題は活着。せいに執着しながら「生きぬく」ために、力の限りをなりふり構わずふりしぼってきた人々の、滾るような生活の真実がある。 |
すべての美しい馬(ビリー・ボブ・ソーントン) |
2003/03/14
06:53 |
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ストーリー | テキサスからメキシコへ、カウボーイ生活を夢見る青年が出会う人々との友情・禁断の愛そして、裏切り。厳しい現実の中で、成長していく青年の姿を切なく描いた青春成長ドラマ。1949年、テキサス州。父の牧場を継ぐことを望んでいたジョンだったが、父の死後、母は土地を売り払ってしまう。カウボーイの夢を諦めきれないジョンは、友人のレイシーとともに、新たな土地を求めてメキシコへ向けて旅に出るのだったが……。<br> | |||
出演 | マット・デイモン | ペネロペ・クルス | ヘンリー・トーマス | |
この映画にいくら出せますか? | 1000円〜〜1500円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
コメント | コーマック・マーカッシーのベストセラー「すべての美しい馬」の映画化。精悍な馬の映像が、タイトルそのままに、美しい。しかし、ストーリーが散漫で、小説の映画化にありがちなドラマへの物足りなさが残る。青春・恋愛・友情・西部劇・暴力、、、。監獄のシーンなどいつの時代のどこの、何の映画を見ているのか分からなくなる。 |
アメリカン・ビューティ(サム・メンデス) |
2003/06/12
09:28 |
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ストーリー | 舞台は郊外の新興住宅地。主人公のレスター・バーナムは、中年サラリーマン。住宅ローンを抱える身に、リストラの風が冷たく刺さる。妻のキャロリンは、取り柄のない夫にうんざりしながら、自分の理想とするオシャレ生活を躍起になって守っている。ハイスクールに通う娘ジェーンは、カッコ悪い父親を嫌って、ろくに口もきかない。アメリカならずとも、世界中、どこにでもある家族模様だ。だが、レスターが、突然、美少女に遭遇したことから、事態は急変する。吹っキレたのか、キレたのか?! ムラムラと燃え上がった中年男の恋心が、すべてを、危険な方向へと変えていく……。 | |||
出演 | ケビン・スペイシー | ケビン・スペイシー | ソーラ・バーチ | |
この映画にいくら出せますか? | 1500円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 平凡な日々の中で、人はそれぞれのビューティー(美)を夢見る。そして、彼らが無意識にしてきたがまんを放棄し、自分のビューティーに向かって邁進する時、何かが起きる。 これは、ごく普通の市民として、普通の毎日を送ることが、どんなにストレスに満ちているかを、一見、普通に見えるサラリーマン家庭を中心に描いた物語。ただそれだけなのに、まじめにおかしく、陰気でコミカル、そして、時に残酷さも垣間見せる。ともあれ、アメリカの夢の終焉をシニカルに描いた傑作。 機能不全に陥ったアメリカの中流家庭が、あらがえない強い引力で事件へと転げ落ちていく様が、不可思議な空気の中で描かれる。倦怠が愛を上回り、体裁が本音を覆い隠す日々。不毛感、孤独感、閉塞感……現代人の精神構造をこんなにおかしくも、新鮮に捉えた映画。 |
幼なじみ(ロベール・ゲディギアン) |
2003/05/13
10:27 |
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ストーリー | 刑務所の面会室で恋人に告白するクレモンティーヌ。<br>彼女はクリムと呼ばれる16歳の少女。フランソワはべべと呼ばれ、彫刻家を夢見る18歳の黒い肌の青年。海からの風と教会の鐘が、心地よく織り成す港町マルセイユ。様々な人種や文化が交錯し、日々労働者が行き交うこの町で、幼なじみのふたりはずっと恋をしてきた。<br>ある日、この幼い恋人たちを引き裂く事件が起きる。べべが人種差別主義者の警官によって、無実の罪でレイプ犯として刑務所に投獄されてしまう。<br>そんな中、クリムは自分の妊娠を知ったのだった。 | |||
出演 | ロール・ラウスト | アレクサンドル・アグー | アリアンヌ・アスカリッド | |
この映画にいくら出せますか? | 1500円〜〜2000円 | |||
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ | ☆☆☆☆ |
コメント | 題名から想像していたよりずっと重いテーマの映画で見ごたえがあった。ゲディギアンが描いてみせるささやかな市井の人々は、人間としての威厳を保つことを知り、心を正しく持ち、屈辱に耐える美質を持っているのだ。それこそが、真の英雄たる人間の器なのである。父親たち、母親、姉。その家族のありようが素晴らしい。 |